「cakes」というネットマガジンを愛読しています。
最近のお気に入り連載のひとつが
「京大院生が選んだ人生を狂わす名著50」。
その中でこの本が取り上げられたので、久々に思い出しました。
『春にして君を離れ』
書影では、著者の名はあのミステリの女王アガサ・クリスティ―になって
いますが、もともとは「メアリ・ウェストマコット」名義で出版されました。
もちろん、二人は同一人物です。
すでにミステリ作家としての名声を確立していたアガサが、別名を使って
発表した、殺人も盗難も何も起きない小説。
でも、探偵は登場します。
ポワロでもミス・マープルでもなく、主人公のジョーンです。
彼女が調査するのは、彼女自身のこと。
夫のため、子どものため、家族のため。
常に「正しいと信じること」を貫いて生きてきたジョーン。
しかし、どうも何かがおかしい・・・。
彼女は「何か起きたのか」「その時わたしは何を感じたのか」
まさに探偵ばりに、自分の記憶と内面を紐解いていくのですが。
残念ながら、最後の最後に彼女は現実から目を逸らしてしまいます。
ミステリよりもミステリアスなのは人の心。
ミステリ小説との大きな違いは、読み終わっても謎が解けないこと。
読み終わってもスッキリしないどころか、かえってモヤモヤすること
請け合いです^^;
「究極のミステリ小説」
そう名付けたい一冊です。
おススメしたいところですが、読むと苦しかったりツラかったりする
人もいるようです。
ひょっとして、うちの母親って過保護、過干渉では?
と、悩んでいる人は、特にご注意を。
オシャレな表紙に惑わされないで(^^)
でもなんだか気になったら、読んでみてください。
むつみ
2018年3月25日の投稿を再編集
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