女として生きることに理不尽さを感じたら

読書は心に効くサプリ

82年生まれ、キム・ジヨン

チョ・ナムジュ 訳:斎藤真理子 筑摩書房

1982年、韓国で生まれたキム・ジヨン氏は、特に裕福でもないが

貧しくもない中流家庭に育った女性だ。

大学に進学し、やっとの思いで広告代理店に就職し、結婚。

子どもを授かると、否応もなくキム・ジヨン氏が退社することになる。

 

そんなある日、ジヨン氏にある変調が現れる・・・。

 

感情を揺さぶれながら、一気に読んだ。

 

韓国で社会現象にまで発展した本書は、台湾でもベストセラー。

欧米各国も含めて、17カ国・地域で翻訳決定しているという。

 

どれだけ多くの女性が

 

「キム・ジヨンはわたしだ」

 

と思ったことだろう。

 

最初は率直にこう感じた。

 

「韓国って、未だにこうなのか」

 

しかし、はたしてこれは隣りの国のお話なのか。

 

広島で師範学校の教師をまだまだ続けたかったのに、年齢を理由に、

ある日突然、会ったこともない祖父に嫁ぐために上京した祖母。

 

「家も持っているお金持ち」と聞かされていたが、祖父にはどちらも

なく、給料もほとんど家に入れることはなかった。

祖母は、内職で4人の子どもを大学まで出した。

 

母はその一番上。

「女は大学に行く必要はない」という祖父の考えで就職先まで決まっていたが

高校の先生の口添えで、授業料の安い国立に進学。

弟は、浪人して予備校に通った。

 

そして私は?

 

「その点、わたしはいい時代に生まれた」

 

そう思っていた。

 

「でも、子どもは要らないけど・・・」

 

なぜ?

 

「だって、女性ばかりが、母親ばかりがたいへんだもの。仕事のキャリアを

諦めなくてはならないもの」

 

なぜ?

 

疑問に感じることもなく。

 

自分の中にある小さな「なぜ?」という声を

聞き逃さないようにしたい。

 

 

むつみ

 

 

 

 

 

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