『日日是好日』
「今、この時を生きる」
当たり前のことのようでいて、実は大人になるとできなくなること。
それを教えてくれる本に巡り合った。
そこには、すっかり忘れていた懐かしい思い出が待っていてくれた、
そうだったのか。
この著者こそ、典奴(のりやっこ)その人だったのだ。
ちょうど高3から大学生の頃。
親が買ってくる「週刊朝日」を毎週読んでいた。
連載コラム「デキゴトロジー」が、とにかく面白かったのだ。
ホントの出来事だけれど、新聞にも載らないような巷の“ニュース”を
ねほりはほり、リサーチした名物企画。
記者が自らネタ探しに奔走し、体当たりで取材。
軽妙な語り口で笑わせて、かなり際どい下ネタでもふどこか品がある。
夏目房之介さんのイラストも楽しかった。
この連載から生まれた『典奴どすえ』 は、
後に、賀来千香子主演でドラマ化もされた。
(それも見てた)。
今思えば、あの頃から「こんな文章が書けたら・・・」と憧れて
いたのかもしれない。
そのコラムを書いていたのが、連載開始当初はまだ大学生だった
『日日是好日』の著者、森下典子さん。
サブタイトルに
「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
とあるように、森下さんが、学生時代から習い続けた「お茶」に
ついて書かれたエッセイだ。
でも、この本は「茶道」のことを書いているのではない。
「お茶」を通して、
人としてどう生きるか
どう在るのか
どんな器で、日々を送るのか
そんなことを教えてくれる本なのだ。
森下さんのお茶の先生である「武田のおばさん」の
「しつらえ、もてなし、ふるまい」に、
人を想う心、「日本の美」を感じる。
そして「今を生きる」ことを。
むつみ
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