本との出会いは、人との出会いと同じ。
この本との出会いも奇跡でした。
自閉症によって、言葉を話すことができないイド。
それどころか、自分の身体を思い通りに動かすこともままならないのです。
コミュニケーションの方法を持たず、考えていることも感じていることも
伝えることができませんでした。
そのために彼は、知的障害があると思われていましたが、
そのことをわかっていながら「違う!」と伝える術もないのです。
でも7歳のとき、お母さんは息子のアタマの中に「言葉」があふれている
ことを知るのです。
それ以来、イドは「文字盤」を指さすことで、コミュニケーションの方法を
手に入れました。
この本は、「言葉」を手に入れた彼が12歳から高校生になって大学を目
指すまでの自分自身の思いを正直に語ったエッセイです。
「認めたくはないけれど、自閉症はぼくにいいことももたらしてくれた。
沈黙の世界で、ものごとを深く考えることを学んだ。
まわりの人たちとその感情を観察して理解することを学んだし、
この病気がすべての終わりじゃないこともわかった。
取り組むことができるとわかっている難題にすぎないのだ。
幸せになる秘訣は、自己憐憫をやめることだ。」
すべての人を力づけてくれる一冊です。
むつみ
2018年2月9日の投稿を再録
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